関電プラントは、関西電力グループの一員として、火力発電所や原子力発電所の設備の据付け、メンテナンスを行い、電力の安全・安定供給の基盤をサポートする企業です。建設・工事会社など協力会社との膨大な数の取引をセイコータイムスタンプサービス「かんたん電子契約」で電子化した経緯と効果について、業務サポート本部 経営企画部 次長 稲垣 健氏と同部・経営企画グループ 担当係長 矢田浩司氏、経理資材部 資材グループ チーフマネジャー 中村 浩氏、同グループ 担当係長 下野寿浩氏にお話を伺いました。
※この事例は本サービスの1つ前バージョンのサービス事例となります。
- 関電プラント株式会社について教えてください。
当社は関西電力グループの一員として、火力・原子力発電所の発電設備およびプラント設備の建設、機器据付、メンテナンス工事の施工管理を行い、火力・原子力発電所の安全・安定運転・信頼性確保の一翼を担っています。
電気は現代社会において欠かすことのできない重要なエネルギーです。滞りなく一般家庭やオフィス、工場などに供給されるように、発電所の機能維持に全社を挙げて取り組んでいます。
近年では、電力設備で培った高度な技術をベースに、IPP・自家用発電設備やガス供給設備、化学プラントなどの産業プラント分野、再生可能エネルギー設備などにも積極的な事業展開を図っています。
- 現在、セイコータイムスタンプサービス「かんたん電子契約」をどのようにお使いですか。
2013年9月より、当社から工事関係の協力会社への発注業務において、注文書の送付と注文請書の受領に活用しています。運用開始から1年間で、9866件の発注・契約を「かんたん電子契約」を通じて行いました。2014年9月だけを抜き出してみると1540件と、かなり活用が進んでおり、2年目の扱い件数は数倍になると予想しています。
現在、「かんたん電子契約」を通じて、注文書・注文請書のやり取りをしている協力会社は49社です。来年度中には100社になるよう、導入を働きかけていく方針です。いまだ建設業界ではアナログな部分も多々残っており、契約業務を電子化している会社は決して多くないと思いますが、当社は積極的に推進していく考えです。
- 「かんたん電子契約」を導入される前は、どのようにして注文書・注文請書のやり取りを行っていたのでしょうか。
各部署で注文書をプリントアウトし、郵送していました。毎日かなりの件数の注文書を発送していましたので、事務スタッフにとっては、注文書を折って封筒に入れ、宛名書きをする負担はかなりのものがありました。
そして注文請書が郵送で戻ってきたら開封し、内容や印紙の金額が間違っていないかを確認して、注文書と照らし合せてファイリングを行っていました。まったくアナログな方法で行っていたのです。
- 業界に先駆けて取引の電子化を進めるには、何かきっかけがあったのでしょうか。
古い話になりますが、当社においてPCの一人1台体制が整ったのは、1998年から2000年にかけてです。その時に親会社である関西電力との取引に関してはEDIでやることになり、2001年半ばから運用を開始しました。1年ほど使用してみたところ、事務の省力化・効率化、郵送コスト、印紙代といった点でメリットがあることが分かりましたので、今度は当社と協力会社との取引にEDIを導入できないものかの検討を行いました。2002年頃には実際に協力会社にも打診をしてみたのですが、まだPC一人1台体制でなかったり、インターネット環境などのインフラが整っていないことがわかり、いったん断念をしました。いつか導入したいという思いはありましたが、なかなか着手できないままでした。
きっかけは、何といっても2011年3月に発生した東日本大震災です。原子力発電所停止に伴い、親会社の経営は苦しくなり、当然ながらグループ会社である当社も更なる業務効率化が必要になりました。関西電力と当社の取引をEDI化した経験から、電子契約システムの導入が業務の効率化に有効であることはわかっていましたので、当社だけでなく協力会社サイドのメリットも大きいと判断して、導入を進めることになりました。
- 「かんたん電子契約」を選択された経緯を教えてください。
当社の基幹システムを担当しているメーカーが調査を行い、候補となったのはセイコーの「かんたん電子契約」を含め2社。そこに関西電力が使用している既存システムを加えて、3つのシステムを検討しました。当社としては書類を電子データで安心してやりとりできるシンプルな機能が欲しかったのですが、意外に少なかったですね。各社が付加価値をつけたシステムにしようと工夫するあまり、当社が基幹システムで既に持っている機能と重複していたり、本来欲しいタイムスタンプの機能などがなかったりと決め手に欠けるものでした。
比較検討した結果、最終的にセイコーの「かんたん電子契約」を選択した理由は、下記の通りです。
- 導入にあたって、システム間のデータ連携などで問題はありませんでしたか。
基幹システムの担当者からは、「若干の改修は必要だったが問題なくデータ連携ができた」という報告を受けています。
実際の運用開始後も特別なリクエストやクレームは来ていませんから、うまく回っていると判断しています。普通システム化をすると、何らかのクレームが来るものですが、何もないということは、意識せずに使いこなせているのだと思います。
- 導入の際、システムを使っていただく協力会社への説明・教育はどのようにされましたか
当社で説明会を通算4回実施して、各社の担当者に来ていただきました。
先行して使っていただく2社についてはこちらから出向いて説明をさせていただきました。その際はセイコーソリューションズの担当SEにも同行してもらいました。
特に難しい操作もなく、PC操作の一貫として使っていただけているようです。
- 「かんたん電子契約」の導入効果について改めてお教えください。
初年度は協力会社49社に導入していただき、約1万件の注文書・注文請書のやり取りを行いました。2年目は数倍のボリュームになると判断しています。来年度中には協力会社100社への導入を予定していますので、さらに本格運用を重ねていくことになります。
導入効果としては、一番は事務の業務改善につながったことです。 毎日の注文書郵送作業と注文請書ファイリング作業から解放されたことが何よりも大きな効果です。 もちろん、郵送コストも年間で1万通、今後はその数倍が削減されますから、大きな削減と言えるでしょう。 業務フローとしては、なくなったものはありますが、増えたものはありません。また、書類の紛失といったトラブルも発生しにくくなったと感じています。
これらの効果は協力会社も同様と考えています。
- 今後の取り組み予定やセイコーソリューションズへのリクエストなどありましたらお教えください。
まずは来年度中に協力会社100社に使用していただけるよう取り組んでいきたいと考えています。システム的には、取引件数の多い協力会社の場合には一覧表示ができないかを現在セイコーソリューションズに検討していただいています。細かな改善かもしれませが、業務の効率化につながる取り組みをしていきたいと考えていますので、新たなご提案もお待ちしています。
- 関電プラント様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
取材日時:2014年10月