導入事例

融資クラウドプラットフォーム 山陰合同銀行 様

山陰合同銀行 様

 

事業性融資、住宅ローン、銀行保証付私募債の電子契約を実現した「融資クラウドプラットフォーム」をさらに活用し、融資取引へのサービス拡大、そして融資取引以外の契約書へのサービス拡大も検討しています。

 

山陰合同銀行
業務サポート部 副部長 伊藤 克宏様
事務企画部 融資グループ 副調査役 杉原光一郎様
IT統括部 システム開発グループ 副調査役 中川健太郎様
営業統括部個人ローングループ 副調査役 若槻 英男様

山陰合同銀行は、島根・鳥取両県の山陰地方をマザーマーケットに、工夫や変革を重ねながら、都市部同様の良質な金融サービスの提供を行っています。2022年7月よりセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、事業性融資(証書貸付)において電子契約サービス「ごうぎん電子契約サービス」の取り扱いを開始し、以降、住宅ローン、銀行保証付私募債へとサービス対象取引を拡大しました。導入の経緯と導入効果について、山陰合同銀行 業務サポート部 副部長 伊藤克宏様、事務企画部 融資グループの杉原光一郎様、IT統括部 システム開発グループの中川健太郎様、営業統括部 個人ローングループの若槻英男様にお話を伺いました。

課題

  • ペーパレス化による事務負担や紙文書の管理負担の軽減。
  • お客様への電子契約サービスの提供による差別化、競争力強化。
  • 融資契約をはじめとした契約書全般の電子化。

導入効果

  • 事業性融資を皮切りに、住宅ローン、銀行保証付私募債で電子契約サービスの取り扱いを開始。
  • 事業性融資の3割、住宅ローンの4割が電子契約に。
  • ペーパレス化による事務負担の軽減(収入印紙貼付、銀行保証付私募債契約書の製本省略など)。
  • 非対面取引による契約手続きにかかる面談時間の削減。

1. 【導入の背景】 企業理念:地域の夢、お客様の夢をかなえる創造的なベストバンク

── 山陰合同銀行について教えてください。

山陰合同銀行は、経営理念である「地域の夢、お客様の夢をかなえる創造的なベストバンク」の実現のため、島根・鳥取両県をはじめ、山陽、兵庫・大阪をカバーする広域な店舗ネットワークを活かし、地域の皆様のあらゆる金融ニーズにお応えし、皆様の良き相談相手として、頼りにされる銀行を目指しています。

当行が営業基盤としている山陰地方では、以前より人口減少や高齢化が大きな社会問題として認識されてきました。近年は新型コロナウィルスの感染拡大による行動制限が長期化し、デジタルシフトや価値観の多様化などにより社会構造が大きく変化しました。こうした環境下であるからこそ、工夫や変革を重ねながら、地域のお客様に都市部同様の良質な金融サービスの提供が必要であり、その提供が当行の地域に対する責務であると考えております。地域やお客様の課題を自身のことと捉え、リレーションシップバンキングを実践することであらゆる課題について徹底したサポートを行っています。

コロナ渦でお客様の価値観も変化しており、地域やお客様の課題解決に貢献できる人材の育成やDX推進による利便性向上や付加価値サービスの提供にも注力しています。

山陰合同銀行本店
山陰合同銀行本店

2.【導入の経緯】融資契約をはじめとした契約書全般の電子化・ペーパーレス化をめざす

── セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入された背景について教えてください。

以前から紙文書の管理負担、具体的には、印刷や整備、郵送・授受、保管といった業務の削減を目的とした契約書等のペーパレス化を順次推進してきました。その一環として、お客様や業務の委託先との契約などもペーパレス化をすすめる方針とし、電子契約サービスの検討を始めました。その中で、銀行の業務上、最も契約書を締結する機会の多い、お客様との融資取引にかかる「金銭消費貸借契約」の電子契約サービス移行から着手しました。検討を開始した当時、山陰地方ではまだ電子契約サービスを導入している金融機関はありませんでした。

一方、当行が拠点を持つ山陽、兵庫・大阪では、メガバンクをはじめとした金融機関で電子契約サービスの導入が進んでおり、お取引先の中には電子契約に対するご理解が進んでおり、融資取引において希望される先もあったため、他金融機関と同等のサービス提供が早期に必要であると認識したからです。

セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」は、電子契約サービスの選定に際し情報収集する中で、先行して導入していた他行へのヒアリングや共同出資している「株式会社フィンクロス・デジタル」の他の参加行での導入実績などから知りうるに至りました。

「契約書全般のペーパーレス化をめざして電子契約サービスに着目しました」と、伊藤 克宏様
「契約書全般のペーパーレス化をめざして電子契約サービスに着目しました」と、伊藤 克宏様

3.【導入の決め手】 早期導入可能なスピード感を重視

── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入までには、どのような比較検討をされたのですか。

2021年の5月頃から具体的な検討を始めました。まずは、そもそも電子契約とはどういうものなのか、その仕組みや法的解釈に対する理解を深めることからはじめました。次に、セイコーソリューションズ様を含めた各社の電子契約サービスの仕様や価格、他行での導入事例などを情報収集のうえ、当行で導入した場合の運用方法などを想定し、比較検討しました。

検討開始当初は実際に導入した「当事者型」だけでなく、「立会人型」の導入を検討していました。これは、「立会人型」のほうが導入コストやランニング費用が低く抑えられること、ご利用者であるお客様の費用面や操作面での負担が軽い点に着目していたからです。一方で、当行は事業性融資での電子契約サービスの利用を考えていました。事業性融資は契約金額が多額になることなどを考慮し、(検討当時は)事業性融資での導入実績のなかった「立会人型」ではなく、ご利用者の電子証明書を使用する「当事者型」の電子契約サービスを最終的に選択しました。
「当事者型」の電子契約サービスを比較検討した結果、セイコーソリューションズ様の「融資クラウドプラットフォーム」の導入を決定しました。

「早期導入可能なスピード感に期待して導入を決めました」と中川健太郎様
「早期導入可能なスピード感に期待して導入を決めました」と中川健太郎様

── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入の決め手を教えてください。

導入を決定した大きな理由は下記の3点です。
1. 電子署名法上の「固有性」の要件を満たした「当事者型」のシステムである
2. 融資契約に特化したシステムであり、融資業務において「使い勝手」が良い
 (事業性融資のほか、住宅ローンでの利用も想定する中で、対面での契約締結の考慮されたシステムである)
3. 他社に比較し価格優位性があり、システム導入も短期間で可能である

以上に加え、既往導入実績や将来的に融資契約以外での利用を考えた場合に、「当事者型」のみでなく、「立会人型」も選択可能であることにも魅力を感じました。最終的には早期導入が可能であるという「スピード感」を最重視し、導入を決定しました。

── 導入することで、どのような効果を期待していましたか。

期待していた効果は下記の通りです。
1. 契約手続きの効率化やペーパレス化
  印鑑照合や融資実行後の契約書(写)郵送などの事務負担の軽減。特に、銀行保証付私募債では、契約書の
  作成、製本が負担になっており、サービス導入による事務負担の大幅な軽減に期待。
2. 契約締結にかかる訪問時間や面談時間の削減
3. 電子契約サービスを導入済みの金融機関に対する競争力強化や未導入の金融機関との差別化

お客様には以下のメリットをご提供できると考えました。
1. お客様の契約書へのご記入・ご捺印やご来店の負担の軽減
2. 銀行の営業日や営業時間に拘束されない契約手続きの実現による利便性の向上
3. 印紙税負担の軽減

4 .【導入の効果】 利用率は事業税融資の3割、住宅ローンの4割と順調に上昇

── 実際の導入についてはスムーズに行えましたか。

2021年12月にセイコーソリューションズと導入に向けた契約を結び、その年の年末にキックオフミーティングを行いました。その後、導入に向け手続きを進め、事務取扱要領や操作マニュアルの制定、行内での研修や操作練習、お客様への周知などを実施し、2022年7月25日にサービスをスタートしました。キックオフからサービス開始まで約7カ月のスピード導入でした。

今回の導入にあたり、電子契約サービスと行内の既存システムとの連携は行っていません。「融資クラウドプラットフォーム」はインターネット環境でのサービスです。インターネット環境と行内ネットワークは分離しシステム構成していますので、その間のデータ連携をいかにスムーズに行うべきかという課題は認識していましたが、一方で、関連する他のシステムで更改の予定などあり、現時点の構成等に基づきデータ連携したとしても、そのインターフェイスが無駄になる可能性がありました。加えて、何よりも電子契約サービスを1日でも早くお客様に提供することを最優先で考えていました。その結果、まずは電子契約サービスを稼働させ、その後に運用状況を見ながら、ブラッシュアップしようと判断しました。

システム連携していないため、営業店ではシステム操作等で負担となる事務があります。そのため、導入と並行して電子契約サービス事務の一部を本部集中することとし、スタートと同時に運用を開始しました。

「業務を集約することで営業店の負担の軽減を図りました」と杉原光一郎様
「業務を集約することで営業店の負担の軽減を図りました」と杉原光一郎様

── 運用面での見直しは、具体的にはどのような内容ですか。

融資契約書の事前チェックと電子契約システムへの契約書搭載およびシステムへのデータ登録までを本部集中しています。業務や事務に習熟した本部の担当者が実施することで、営業店で行うよりも手早く、かつ正確に処理できるため安心感があり、短時間で処理できます。そのため、本部集中を推奨しており、営業店からも非常にありがたいと評価されています。今後は、更に本部集中できる業務範囲を広げて行きたいと考えています。

── 2022年7月に事業性融資を、2023年1月から住宅ローンの電子契約サービスをスタートさせました。スタート時期はあえてずらしたのでしょうか。

当初は同時にという考えもありましたが、住宅ローンの業務を営業店から本部に集中させるという施策がすでに進んでおり、まずはそちらのリリースを優先することとしたため、リリース時期がずれる結果となりました。2022年11月に住宅ローン業務の本部集中がスタートできたため、その後、電子契約サービスの導入に着手し、2023年1月からスタートいたしました。

現在、新規実行時の融資契約に関し、以下の3つの契約を電子契約サービスの対象としています。
1. 事業性融資のうち金銭消費貸借契約(付随契約書を含む)
2. 住宅ローンの金銭消費貸借契約(付随契約書を含む)
3. 銀行保証付私募債の社債要項、保証委託ならびに保証契約証書
 (付属契約書を含む)

「当行もお客さまにとっても期待していたことはすべて実現できました」と若槻 英男様
「当行もお客さまにとっても期待していたことはすべて実現できました」と若槻 英男様

── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入効果について教えてください

当行、お客様双方にとって期待していたことはすべて実現できたと感じています。2023年3月(単月)での電子契約サービスの利用実績はおおよそ以下のとおりです。
・事業性融資:約30%
・住宅ローン:約40%

電子契約サービスの開始以降、事業性融資、住宅ローンともに順調に利用率を伸ばしています。
事業性融資は山陽、兵庫・大阪を中心に利用実績が着実に伸びています。数ある取引行の中で当行が初めて電子契約サービスを提案してくれたと大変に喜んでいただいたお客様もいらっしゃいました。
住宅ローンは導入して3か月目ながら、約40%の水準にまで達しました。山陰地区での個人ローン推進の中核拠点である個人ローンセンターの中には、住宅業者さんとうまく連携し、3月(単月)で70%を越える水準まで達したところもありました。
電子契約サービスのメリットをしっかり周知し、お客様にその良さが浸透して行けば、事業性融資、住宅ローンともに8割を超える水準まで利用実績を伸ばしていける可能性は十分にあると考えています。

5.【今後の期待】行内システムとの連携への提案やサポートに期待

── 「融資クラウドプラットフォーム」の今後の活用予定について教えてください。

先にお話ししたように、今回の導入に際しては、行内システムとの連携を行っておりません。他の関連するシステムの更改の進捗等を見ながら、システム連携を含め、業務効率化や操作性の向上を目指していきたいと考えています。
あわせて、サービス対象となる融資取引の範囲を広げて行きたいと考えています。例えば、当座貸越契約や支払承諾の保証委託契約、あるいは既契約の条件変更契約や銀行取引約定書など、書面契約のものは可能な限りすべて電子契約サービスで取扱いできるように進めて行きたいと考えています。
また、「融資クラウドプラットフォーム」を導入いたしました理由のひとつであげておりますが、融資契約以外の契約への利用範囲の拡大も検討していく予定です。

── セイコーソリューションズならびに「融資クラウドプラットフォーム」への期待、リクエストなどありましたらお聞かせください。

短期間でサービスを開始することができたこと、操作がシンプルで、お客様にも当行行員にもわかりやすいところはありがたく、高く評価させていただいております。今後、行内システムとの連携を予定しておりますので、その際には豊富な知識とノウハウでサポートいただければと思っています。
また、今後追加をご検討いただきたい機能として、3点希望いたします。(この後、具体的な機能を提示いただきました。)
今後も「融資クラウドプラットフォーム」の活用の幅は広がっていくと思います。他の金融機関での導入事例や活用事例なども含め、引き続きご提案ならびにサポートをよろしくお願いいたします。

 

山陰合同銀行様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。なお、今回の取材でいただいた具体的なご要望につきましては、現在実装にむけ検討を進めています。

お客様プロフィール

◎山陰合同銀行
URL https://www.gogin.co.jp
※ 取材日時 2023年4月

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